海外FXについて調べていると、「600万円を超えたら法人化を考えた方がいい」といった話をよく見かける。
ただ、この手の話は、税金の仕組み、国内FXとの違い、法人化の意味が全部一緒に語られていることが多い。
その結果、何となく「600万円」という数字だけが独り歩きしているように感じる。
実際に整理してみると、本当に見るべきなのは600万円という数字そのものではなかった。
大事なのは、どれだけ利益が出たかよりも、その利益がどういう課税方式で扱われるのか、そして個人で持つのか、法人で持つのかという箱の違いだった。
今回は、海外FXでよく聞く「600万円ライン」がどこまで本当なのかを、国内FXとの違いも含めて順番に整理してみたい。
海外FXは600万円超えたら法人化を考える、という話をよく見る
「海外FXは600万円くらいまでなら個人、超えたら法人化を考える」みたいな話は、たしかによく見る。
ただ、この言い回しは便利な反面、かなり雑でもある。
なぜなら、この中には少なくとも3つの論点が混ざっているからだ。
ひとつは税金。
ひとつは法人化。
もうひとつは、そもそも国内FXと海外FXの使い分けである。
つまり、「600万円」という数字だけを見ても、実はあまり意味がない。
何を考えるのか。
税金の話なのか、法人化の話なのか、それとも口座や戦略の話なのか。
そこを分けないと、最初から話がズレやすい。
海外FXの税金で見るべきは、600万円という数字そのものではない
先に結論を書けば、600万円は法的な基準ではない。
本当に見るべきなのは、利益額そのものより、課税方式の違いである。
海外FXの話がややこしくなるのは、
「いくら儲かったか」
「会社員としての年収がいくらか」
「法人化したら得か」
が一緒に語られてしまうからだ。
でも実際には、税制の芯はもっとシンプルで、国内FXは申告分離課税、海外FXは一般に総合課税側で見られやすい、という違いにある。
ここを押さえるだけで、「600万円を超えたらどうするか」という話もかなり整理しやすくなる。
国内FXと海外FXは、そもそも税金と課税方式が違う
まず国内FX。
一定の国内FX取引は、他の所得と分けて税額を計算する申告分離課税の世界で考えやすい。
税率の感覚も比較的読みやすい。実質の税率は20.315%である。
一方で海外FXは、国内FXと同じ感覚で見てしまうとズレやすい。
一般には、国内FXと同じ分離課税の箱ではなく、総合課税の雑所得側で見たほうが実感に近い。
つまり、給与など他の所得と合算されやすい。
ここが大きい。
同じ100万円の利益でも、国内FXと海外FXでは、どの財布で課税されるかが違う。
国内FXは別財布。
海外FXは本業の給与などと同じ財布に入りやすい。
だから、数字の見え方も変わる。
会社員の兼業なら、海外FXの税金差は600万円より前から意識した方がいい
ここで「じゃあなぜ600万円という話が出るのか」という疑問が出てくる。
理由は、会社員の兼業だと、本業の給与がすでにあるからだ。
このとき、感覚として大事なのは、600万円を超えた瞬間に何かが急変するわけではないということだ。
むしろ、会社員の兼業なら、もっと手前から国内FXとの差を感じ始めることがある。
たとえば、年収600万円の会社員をかなり雑にイメージすると、
利益100万円なら、国内FXは約20万円、海外FXは約30万円前後を意識しやすい。
利益300万円なら、国内FXは約60万円、海外FXは約90万円前後。
利益500万円なら、国内FXは約100万円、海外FXは約150万円台前後。
もちろんこれは控除や家族状況で前後する。
でも、方向感としては、600万円を超える前から差は出る。
だから、本当の意味で見るべきなのは、「600万円かどうか」ではなく、自分の所得構造の中でどのくらい差が広がるかだと思う。所得税の累進税率は課税所得に応じて上がるため、給与のある会社員ほど海外FX利益の上乗せ影響を受けやすい。
海外FXは法人化すればいい、という話もあるけど実際どうなのか
ここで、次によく出てくるのが法人化の話である。
たしかに、個人で海外FXをやると給与と合算されやすいなら、「法人にした方がよいのでは」と考えるのは自然だ。
数字だけ見れば、法人化が有利に見える場面はある。
中小法人の法人税率は、年800万円以下の所得部分が15%、超える部分が23.2%である。
ただ、ここで単純に「じゃあ法人化すれば得だ」とは言い切れない。
なぜなら、法人は税率だけで終わらないからだ。
法人住民税や法人事業税があり、赤字でも一定の負担が残ることがある。
さらに一人社長でも、健康保険や厚生年金の論点が出てくる。
そして何より大きいのは、利益を全部自分に抜くなら、思ったほど差が出ないということだ。
法人で受けた利益を役員報酬でほぼ全部取ってしまえば、結局は個人側の課税も意識しないといけない。
つまり、法人化の本当の意味が出やすいのは、利益を法人の中に残せる場合である。
逆に言えば、利益500万円前後で、しかもその利益を生活費としてほぼ全部使うなら、領収書管理、会計、申告、法人維持の手間まで含めて考えると、決定打とまでは言いにくい。
今回あれこれ整理してみて感じたのも、まさにそこだった。
税制で不利でも、それでも海外FXを使う人がいる理由
ここまで読むと、「税制で不利なら海外FXを使う意味はないのでは」と思う人もいるかもしれない。
でも、現実にはそう単純でもない。
海外FXは税制だけ見れば、たしかに国内FXより不利になりやすい。
ただし、口座仕様や証拠金条件が国内と異なることがある。
国内の個人FXは最大25倍だが、海外側では高いレバレッジ設定を掲げる業者がある。国内個人FXの上限25倍は日本の制度に基づく。
もちろん、ここを「ハイレバだから正しい」と書くつもりはない。
ただ、少額資金の人からすると、国内25倍では取りにくい戦略が、海外口座では取りやすいと感じることはある。
これは税制メリットの話ではなく、取引条件の話である。
だから整理としては、海外FXは税金で不利になりやすい一方、少額資金では取引条件が戦略上の選択肢になると感じる人もいる、このくらいがちょうどいい。
税とレバレッジは同じ話ではない。
でも、現実には両方を見て口座を選ぶ人がいる。
このくらいの温度感が、いちばん実態に近い気がする。無登録の海外FX業者にはトラブル時対応などの注意点もあるため、取引条件だけでなく業者リスクも別に見る必要がある。
結局、海外FXで見るべきは利益額ではなく、どの箱で持つか
結局、このテーマの本質は、いくら勝ったかではない。
大事なのは、その利益をどの箱で持つかである。
国内FXで持つのか。
海外FXで持つのか。
個人で持つのか。
法人で持つのか。
さらに、その利益を残すのか、使うのか。
ここが違えば、同じ500万円でも意味が変わる。
国内FXなら、税率は比較的読みやすい。
海外FXなら、会社員の本業年収と重なって見えやすい。
法人なら、利益を残せるなら意味が出るが、全部抜くなら急に微妙になる。
つまり、投資の話は、利益額だけを見ても片手落ちで、その利益をどの箱で持つのかまで含めて考えないと見誤りやすい。
海外FXの600万円ラインは雑だが、考える視点には意味がある
海外FXは、600万円を超えたら機械的に法人化すればいい、という単純な話ではなかった。
本当に見るべきなのは、いくら利益が出たかより、その利益がどういう課税方式で扱われるかだった。
国内FXは分離課税側。
海外FXは一般に総合課税側で見られやすい。
この違いがまず大きい。
さらに、法人化も万能ではない。
利益を法人に残せるなら意味が出やすいが、全部を自分に抜く前提なら、思ったほどの差にはなりにくい。
そして、海外FXには税以外の理由で使われる側面もある。
ただし、それは税制メリットではなく、あくまで口座仕様や戦略の話として分けて考えた方がいい。
「600万円ライン」はわかりやすいが、少し雑だ。
ただ、利益額より先に、どの箱で利益を持つのかを考えるきっかけとしては意味がある。
そういう意味では、完全に間違った話とも言い切れないのだと思う。


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