UAEのOPEC離脱は日本にとって得なのか? 原油価格より先に見るべき「ホルムズ海峡」の問題

ニュース考察

UAEがOPECから離脱するというニュースを見た。一見すると、遠い中東の産油国同士の話に見える。

けれど、日本にとっては他人事ではない。原油価格は、ガソリン代だけでなく、物価、物流、航空券、そして海外旅行の行きやすさにもつながっている。

だから今回見るべきなのは、UAEがOPECを抜けたという事実だけではない。日本にとって、それは得なのか。それとも、別の不安の始まりなのか。

今回はそのあたりを、日本目線で整理してみたい。

UAEのOPEC離脱は、なぜ大きなニュースなのか

OPECは、産油国が原油の生産量を調整することで、原油価格に影響を与えてきた組織だ。原油をたくさん出せば価格は下がりやすくなる。逆に、生産量を絞れば価格は支えられやすくなる。

ざっくり言えば、OPECは産油国側の調整役のような存在だった。その中でUAEは、単なる小さな加盟国ではない。中東の有力な産油国であり、しかも今後さらに原油を生産できる能力を持つ国だ。

つまり今回の離脱は、「産油国がひとつ抜けた」というだけの話ではない。「もっと原油を売りたい有力国が、OPECの生産調整の枠から外れた」という話でもある。ここが大きい。

UAEとしては、これまで投資してきた生産能力をもっと活用したい。しかしOPECの枠組みにいる限り、生産量には一定の制限がかかる。それなら、自国の判断で動けるようにしたい。そう考えたとしても、不思議ではない。

日本にとっては、原油安の追い風になる可能性がある

日本のように原油を輸入に頼る国から見ると、UAEのOPEC離脱は中長期では追い風になる可能性がある。

OPECの枠に縛られず、UAEがより多くの原油を市場に出せるようになれば、供給は増える。供給が増えれば、原油価格には下落圧力がかかる。

もちろん、すぐにガソリン代が下がるという単純な話ではない。原油価格には、戦争、為替、輸送コスト、在庫、投機マネーなど、いろいろな要素が絡む。

それでも、産油国側の価格調整力が弱まるなら、買う側にとっては悪い話ばかりではない。特に日本は、エネルギー資源を海外に頼っている。

原油価格が高くなれば、ガソリン代、電気代、物流費、食品価格、航空券代まで広く影響する。だから、UAEがより自由に原油を供給できるようになること自体は、日本にとってプラス材料になり得る。

ただし、ここで話を終わらせると、少し危うい。今回の問題は、原油価格だけで考えると見誤る。

ただし、いま一番大きいのはホルムズ海峡の問題

原油は「買える」だけでは足りない。日本まで運べなければ意味がない。ここが今回の一番大事なところだと思う。

中東の原油は、ホルムズ海峡という重要な海上ルートを通って世界へ運ばれている。もしホルムズ海峡が不安定になれば、原油が存在していても、タンカーが安全に通れない。

つまり、市場で原油を買えるとしても、その原油が日本に届くとは限らない。今回、UAEのOPEC離脱とあわせて注目されているのが、フジャイラ港やパイプラインの話だ。

フジャイラはホルムズ海峡の外側に位置する港で、ここを活用できれば、ホルムズ海峡を通らずに原油を輸出できる可能性がある。

これは日本にとっても重要だ。なぜなら、日本が本当に必要としているのは、単に安い原油ではなく、安定して届く原油だからだ。

「買える原油」と「届く原油」は違う

今回の件で、改めて見えたことがある。それは、「買える原油」と「届く原油」は違うということだ。

市場価格だけを見れば、原油が安くなる可能性はある。しかし、タンカーが安全に通れなければ、日本には届かない。契約上は買えていても、物流が止まれば意味がない。

これは、食料でも、半導体でも、エネルギーでも同じだ。グローバル経済は、商品そのものだけでなく、輸送ルートの上に成り立っている。

だから、UAEがホルムズ海峡を通らない輸出ルートを強めようとしているなら、それは単なる中東のインフラ投資ではない。日本にとっても、エネルギー安全保障に関わる話になる。

原油価格が下がるかどうか。それも大事だ。でも、それ以上に大事なのは、必要なときに、必要な量が、本当に届くのかという点だ。

海外旅行にも、じわじわ影響する話

この話は、ガソリン代だけの問題でもない。原油価格が上がれば、航空会社の燃料費にも影響する。その負担は、国際線の航空券代や燃油サーチャージにも跳ね返ってくる。

パタヤやバンコクへ気軽に行きたいと思っていても、原油価格が上がり、中東の輸送リスクが高まれば、海外旅行のハードルは少しずつ高くなる。

もちろん、航空券の価格は原油だけで決まるわけではない。為替、需要、航空会社の路線戦略、空港使用料など、いろいろな要素がある。

それでも、燃料費が国際線のコストに影響することは間違いない。そう考えると、UAEのOPEC離脱やホルムズ海峡の問題は、遠い国際ニュースではない。

海外へ出る自由にも、じわじわつながっている。気軽に飛行機に乗れること。思い立ったときに海外へ行けること。それも、世界のエネルギー供給と無関係ではない。

OPECの力が弱まると、世界は安定するのか

OPECの力が弱まれば、原油価格は下がりやすくなるかもしれない。買う側から見れば、それは歓迎したくなる。

ただし、それがそのまま世界の安定につながるとは限らない。これまでOPECは、よくも悪くも産油国の調整役だった。

各国が勝手に増産すれば、価格は大きく下がる。価格が下がれば、産油国の財政は苦しくなる。財政が苦しくなれば、国内不安や地域対立が強まる可能性もある。

つまり、OPECの力が弱まることは、原油安の可能性と、秩序の不安定化リスクを同時に持っている。

日本にとっても、単純に「OPECが弱くなれば得」とは言い切れない。安くなるかもしれない。でも、読みにくくなるかもしれない。

価格が下がる局面もあれば、地政学リスクで急騰する局面もある。これからの原油市場は、安定して安いというより、乱高下しやすい世界に入る可能性がある。

日本は何を見るべきなのか

今回のニュースで、日本が見るべきなのは原油価格だけではない。

UAEが本当にどこまで増産するのか。その原油をどのルートで運ぶのか。ホルムズ海峡は安全に通れるのか。サウジアラビアはどう反応するのか。他のOPEC加盟国も同じように動くのか。

そして生活者の目線では、ガソリン代、電気代、物流コスト、航空券代にどう跳ね返るのか。見るべき点は多い。

その中でも、日本にとって特に大事なのは、輸送ルートだと思う。原油を買えるかどうかだけではなく、どう運ぶか。どの国から買うかだけではなく、どの海を通って届くのか。

今回のUAEの動きは、その現実を改めて見せている。

まとめ

UAEのOPEC離脱は、日本にとって中長期では追い風になる可能性がある。OPECの生産枠から外れたUAEが原油を多く市場に出せるようになれば、原油価格には下落圧力がかかる。

日本のような輸入国にとって、それは悪い話ではない。ただし、いま一番大きな問題は、原油を安く買えるかではなく、本当に日本まで運べるかだ。

ホルムズ海峡が不安定になれば、価格が下がる前に供給不安が出る。そして原油価格の上昇は、ガソリン代だけでなく、航空券代や海外旅行の行きやすさにもつながってくる。

遠い中東のニュースに見えて、実は日本の生活にも、海外へ出る自由にも関係している。

だから今回のニュースは、「UAEがOPECを抜けた」というだけで終わらせず、「日本はこれから、どこから、どうやってエネルギーを運ぶのか」という視点で見ておきたい。

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